「一生懸命働いているのに、手取りが増えない」
「会社の業績は悪くないはずなのに、なぜか賃上げの話が出ない」
今の日本で、多くの人が抱えているこのモヤモヤ。
実はこれ、会社の社長がケチだからでも、あなたの能力が足りないからでもないかもしれません。
その正体は、日本の消費税の仕組みそのものにありました。
今回は、あまり語られることのない消費税の裏の顔、**「雇用に対する罰則」**という側面について解説します。
消費税は誰が負担しているのか?
私たちは普段、買い物の時に10%の消費税を払っています。「これはお店が預かって、後で国に納めているんでしょ?」と思いますよね。
これを「預かり金」と言いますが、実は多くの専門家や実務家が**「消費税は預かり金ではない」**と指摘しています。
企業から見た消費税は、実質的に**「粗利(付加価値)にかかる第二の法人税」**のような性質を持っています。そして、ここに給料が上がらない最大のトリックが隠されています。
「社員」か「外注」か。天国と地獄の分かれ道
企業が国に納める消費税の計算式は、ざっくり言うとこうなります。
【受け取った消費税】-【支払った消費税】=【納税額】
売上の時に客から預かった税金から、仕入れや経費で誰かに払った税金を**差し引く(控除する)**ことができます。
ここでクイズです。
1. 材料を買った代金
2. 電気代
3. 外注先への支払い
4. 社員への給料
この中で、**「支払った消費税」として差し引けない(控除できない)**ものはどれでしょうか?
正解は、**4番の「社員への給料」**です。
ここが恐ろしいポイントです。
給料は消費税がかからない取引(不課税取引)とされているため、会社は社員に給料をいくら払っても、消費税の納税額を減らすことができません。
人を雇うと損をする「雇用罰則」
これを経営者の視点で見ると、残酷な計算が成り立ちます。
例えば、年収500万円の仕事を誰かに頼みたいとします。
• A:正社員を雇って500万円払う
• 消費税の控除は0円。
• 会社は売上にかかる消費税をまるまる負担しなければなりません。
• B:外注(フリーランスや派遣)に550万円(税込)払う
• 支払った消費税50万円分は、納税額から差し引けます。
• 実質的な負担が減り、節税になります。
つまり、**「正社員を雇う(賃金を上げる)と税金の負担が重くなり、外注に切り替えれば税金が安くなる」**という仕組みになっているのです。
これを「雇用罰則」と呼ばずして何と呼べばいいのでしょうか。
赤字でも逃げられない
さらに追い打ちをかけるのが、消費税は**「赤字でも払わなければならない」**という点です。
法人税なら赤字の年は免除されますが、消費税は違います。資金繰りが苦しくても、売上があれば容赦なく徴収されます。
この恐怖があるため、中小企業は内部留保を貯め込まざるを得ず、思い切った賃上げに踏み切ることができません。
「賃上げして赤字になったら、消費税が払えずに倒産する」というリスクがあるからです。
まとめ:ルールを知らなければ戦えない
「給料が上がらない」と嘆く前に、このルールを知る必要があります。
今の税制は、構造的に**「正規雇用を減らし、非正規や外注を増やす」**方向へ圧力をかけています。
インボイス制度の導入も、この流れをさらに複雑にしています。
私たちが豊かになるためには、個人の努力ももちろん大切ですが、この「頑張って人を雇うほど損をする」というブレーキのような仕組みにも、目を向ける必要があるのではないでしょうか。


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