大阪の運送会社シーガルが、厚生年金の滞納を理由に売掛金を差し押さえられ、取引先減少&売上激減に直面――会社側は「社員の横領という犯罪被害で資金が消えた。税務署や労働局は猶予を認めたのに、年金事務所だけが認めず差し押さえた」と主張。一方、日本年金機構は「猶予申請書の提出事実はない」と反論しています。本稿では、報道と公的資料を基に、時系列・制度解説・両者の主張・チェックすべき証拠を整理します。 TBS NEWS DIG朝日新聞年金ネット
事件の概要(60秒で把握)
- シーガルは2004年創業の運送会社。2023年10月、経理担当者による「横領」疑惑で税・年金納付資金が欠損(会社説明)。2024年1月に吹田年金事務所へ猶予相談→同年8月に売掛金の差し押さえ実施。2024年12月に年金機構と国を提訴。現在係争中。 TBS NEWS DIG朝日新聞
- 報道では、年金事務所職員が後に「横領は猶予対象」と“勉強不足”を認めたとされるが、差し押さえは止まらず。年金機構側は「猶予申請書は提出されていない」と主張。 TBS NEWS DIG
年表(発覚~提訴まで)
- 2023年10月:「横領」発覚(会社説明)。翌年初までに担当者が死亡。 TBS NEWS DIG
- 2024年1月:吹田年金事務所へ猶予相談(会社側談)。同時期、税務署・市役所・労働局は猶予に応じたと報道。 TBS NEWS DIG
- 2024年8月:売掛金の差し押さえ開始、取引先減少・売上激減。 TBS NEWS DIG
- 2024年9月:担当者が“勉強不足”発言(会社側の録音による説明)。 TBS NEWS DIG
- 2024年12月:大阪地裁に提訴。朝日新聞も訴訟提起を報道。 朝日新聞+1
両者の主張をシンプル比較
- 会社側:
- 犯罪被害(横領)で納付資金が消えた。税務署・労働局は猶予OK、年金事務所だけNG→差し押さえで事業悪化。
- 当初「犯罪被害は猶予対象外」とされ申請を受け付けられず、後に“勉強不足”を認められたが是正されなかった。 TBS NEWS DIG
- 年金機構側:
- 係争中につき個別回答は控える立場。裁判所提出書面では「猶予申請書の提出事実はない」。 TBS NEWS DIG
制度の要点——「納付の猶予」「換価の猶予」とは
- 厚生年金の徴収(日本年金機構)でも、国税通則法・国税徴収法の枠組みに準拠した「納付の猶予」「換価の猶予」があり、要件に該当すれば最長1年の猶予や分割が可能。申請(書面)と要件審査が前提。 年金ネット+1国税庁
- とくに「換価の猶予」は、事業継続に重大な支障がある場合に、差し押さえ・換価処分を一定期間猶予し、分納を許す仕組み。許可時は通知が交付されるのが原則。 年金ネット国税庁
今回の“突っ込みどころ”と検証ポイント
- 疑問1:横領は事実か(立証度)
- 刑事の確定情報は現時点で報道上確認できず。銀行明細・仕訳・被害届/告訴の受理・納付予定表との突合が鍵。報道は「会社側の説明」ベース。 TBS NEWS DIG朝日新聞
- 疑問2:“勉強不足”認識後、なぜ是正できなかったのか
影響の広がり——差し押さえは本当に増えているのか
- 日本年金機構の実績評価資料では、財産差押件数がR3→R5で増加。徴収の厳格化(国税委任の活用や最終催告状の増加)も示唆。個別案件の当否は別として、執行強化の空気は裏づけられる。 厚生労働省
まとめ(中小企業が同じ目に遭わないために)
- 犯罪被害が疑われる時は、被害届や送金経路の一次資料を即時に束ねる。
- 年金事務所へは“書面”申請(様式・添付)を必ず残す。国税/地方税/労働保険の猶予申請写しを添付できる制度もある。 年金ネット
- 差押え告知が来た段階で、換価の猶予を含む「執行停止の余地」を直ちに相談・申請。許可通知の有無が後日の命綱になる。 年金ネット国税庁
ファクトチェック(主要主張の検証)
| 項目 | 現時点の評価 | 根拠/出典 |
|---|---|---|
| 経理担当者による「横領」 | 会社側の主張段階(刑事確定は未確認) | MBS/TBSの特集記事は会社説明として報道。朝日も原告主張として記載。 TBS NEWS DIG朝日新聞 |
| 年金事務所が当初「猶予する理由がない」とした | 報道で明示 | 特集記事本文。 TBS NEWS DIG |
| 後に“勉強不足”を認めた | 会社側の録音に基づく説明として報道 | 特集記事本文。 TBS NEWS DIG |
| 年金機構「猶予申請書は未提出」 | 機構の準備書面の主張 | 特集記事本文。 TBS NEWS DIG |
| 厚生年金の納付/換価の猶予は制度として存在 | 確認済み(公式) | 年金機構「納付の猶予」「換価の猶予」ページ。国税のガイド。 年金ネット+1国税庁 |
| 差し押さえ件数が近年増加 | 資料で確認 | 厚労省公表の年金機構評価資料(R3→R5で差押増加)。 厚生労働省 |


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