2025年度から、私たちの生活に関わる遺族年金制度が大きく変わります。特に「子のいない配偶者」の方や、現行制度との違い、ご自身への具体的な影響について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、複雑で分かりにくい遺族年金の改正点を、どこよりも分かりやすく、そして対話的にご理解いただけるよう「2025年度 遺族年金改正インタラクティブナビ」の情報を基に徹底解説します。
「かんたん影響チェック」でご自身が対象となるかすぐに確認できるほか、新旧制度の比較、改正のキーワード解説、施行スケジュールまで、知りたい情報を網羅。この記事を読めば、2025年の遺族年金改正の全てが分かり、将来への備えを具体的に考えるための一歩を踏み出せます。
【具体例で解説】2025年遺族年金改正 あなたの家族への影響は?
2025年度から段階的に施行される遺族年金制度の改正。言葉だけではなかなか自分事として捉えにくいかもしれません。そこで、具体的な家族モデルを例に、今回の改正が私たちの生活にどのような影響を与えるのか、分かりやすく解説します。
1. 家族モデル別 影響早わかり表
以下に、いくつかの家族モデルを想定し、現行制度と改正後の主なポイント、そして影響のポイントを表にまとめました。
家族モデル (イラストイメージ) | 現行制度での主なポイント (夫が亡くなった場合) | 改正後の主なポイント (夫が亡くなった場合) | 影響のポイント |
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Aさん一家夫:35歳会社員妻:33歳パート子:なし(若い夫婦のイラスト) | 夫の死亡時に妻が30歳以上なので、原則として終身で遺族厚生年金を受給 | 妻は原則5年間の有期で遺族厚生年金を受給。ただし、その間の年金額は「有期給付加算」で増額。さらに、妻自身の将来の老齢年金が「死亡時分割」で増える可能性あり。 | 支給期間が終身から原則5年間に短縮されるが、5年間の総受給額は増える可能性。将来の自分の年金も増える可能性が出てくる。 |
Bさん一家夫:45歳会社員妻:42歳専業主婦子:10歳(小学生)(子育て中の家族のイラスト) | 子が18歳になるまで遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給。その後、妻は中高齢寡婦加算付きの遺族厚生年金を終身受給。 | 子が18歳になるまで遺族基礎年金(子の加算増額)と遺族厚生年金を受給。その後、妻は原則5年間の有期で遺族厚生年金(有期給付加算あり)。中高齢寡婦加算は段階的に廃止。5年経過後は所得や障害の状況により「継続給付」の可能性あり。「死亡時分割」も。 | 子の養育期間中の保障は維持・一部拡充されるが、その後は終身保障から有期保障へ変わる可能性。中高齢寡婦加算が減るかなくなる影響も。ただし、短期的な給付額や将来の自身の年金が増える要素もある。 |
Cさん一家夫:58歳会社員妻:55歳会社員子:独立(中高年の夫婦のイラスト) | 妻は終身で遺族厚生年金を受給(中高齢寡婦加算の対象となる場合あり)。 | 妻は原則5年間の有期で遺族厚生年金(有期給付加算あり)。中高齢寡婦加算は段階的に廃止。5年経過後は所得や障害の状況により「継続給付」の可能性あり。「死亡時分割」も。 | これまで終身だったものが、原則5年間の有期給付に変わる大きな影響(ただし、施行時の年齢により段階的に適用)。ただし、短期的な給付額や将来の自身の年金が増える要素もある。中高齢寡婦加算の廃止の影響も大きい。 |
Dさん一家夫:62歳会社員妻:60歳パート子:独立(シニア夫婦のイラスト) | 妻は終身で遺族厚生年金を受給。 | 妻は終身で遺族厚生年金を受給(現行制度維持)。ただし、妻自身の将来の老齢年金が「死亡時分割」で増える可能性あり。 | 60歳以上の場合は基本的に現行制度が維持されるため、大きな影響はない。ただし、死亡時分割の恩恵を受けられる可能性がある。 |
※注意点:
- 上記はあくまで簡略化したモデルケースであり、個々の状況(収入、厚生年金加入期間、子の障害の有無など)によって詳細は異なります。
- 改正は段階的に施行されるため、配偶者の死亡時期や本人の年齢によって適用されるルールが変わります。
2025年度 遺族年金改正ナビ
制度改正のポイントとあなたへの影響を分かりやすく解説します。
かんたん影響チェック
いくつかの質問にお答えいただくと、今回の改正による影響度を診断します。
どう変わる? 新旧制度の比較 (子のいない配偶者の場合)
現行制度と新しい制度で、遺族厚生年金の支給期間がどのように変わるのかを視覚的に比較します。
改正内容のキーワード解説
今回の改正で導入・変更される主な制度について、ポイントを解説します。項目をクリックして詳細をご覧ください。
これまで子のない妻は30歳以上なら原則終身受け取れた遺族厚生年金が、改正後は男女ともに20代~50代で配偶者と死別した場合は原則「5年間」の支給期間に統一されます。これは、遺族年金の役割を長期的な生活保障から、生活を再建するための短期集中支援へと転換するものです。
支給期間が5年に短縮される代わりに、その間の年金額を増やすための新しい加算制度です。これにより、5年間で受け取れる総額は、死亡した配偶者が受け取るはずだった老齢厚生年金(報酬比例部分)の満額(4/4)に相当する水準(現行の約1.3倍)となり、死別直後の経済的支援が手厚くなります。
5年間の遺族年金が終了した後の生活を支えるため、亡くなった配偶者の厚生年金記録(婚姻期間中)の一部を、生きている配偶者自身の老齢年金に上乗せできる新しい制度です。これにより、65歳以降に受け取る自分の年金額が増える可能性があります。
原則5年の支給期間が終わった後も、障害がある場合や、所得が一定基準(例:年収122万円)を下回る場合には、引き続き遺族年金(有期給付加算を含む)を受け取れるセーフティネットです。ただし、この給付は最長でも65歳になるまでです。
現在、40歳から65歳までの子のない妻に支給される「中高齢寡婦加算」が、約25年かけて段階的に廃止されます。これは、女性の就業率上昇などを背景とした見直しです。改正法施行後に新たに受給権が発生する人から、加算額が少しずつ減額されていきます。
これまで、本人の年収が850万円以上あると遺族厚生年金を受け取れませんでしたが、子のいない20代~50代の配偶者についてはこの要件が撤廃されます。これにより、これまで対象外だった方も、5年間の有期給付を受けられるようになります。
改正の施行スケジュール
主な改正は2028年から始まりますが、影響を緩和するために段階的に実施されます。
法案審議
国会で改正法案が審議・成立
主な改正施行
男性への有期給付開始など多くの改正がスタート
段階的移行
女性の有期給付化や中高齢寡婦加算の廃止が時間をかけて進む
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