近年、芸人とユーチューバーを比較する議論がたびたび話題になっています。
ピン芸人・お見送り芸人しんいちさんが「ユーチューバーと絡むのは苦痛」「まだ下に見ている」と発言したり、人気ユーチューバー・ラファエルさんが「芸人がユーチューバーを見下す風潮」を痛烈に批判するなど、SNSやニュースで対立軸が浮き彫りになる場面も増えています。
この背景には、かつて「有名人になる=テレビ一択」だった時代から、YouTubeをはじめとするネットプラットフォームの台頭により、エンタメの主戦場が大きく変わりつつあることがあります。
本記事では、芸人とユーチューバーそれぞれの強みと特徴を整理し、なぜ今「どちらがすごいのか」が問われているのかを徹底解説します。
芸人の強みと特徴
芸人は、日本のエンタメ文化を長く支えてきた存在です。その強みを整理すると以下の通りです。
1. 伝統的な訓練システム
吉本興業や松竹芸能をはじめとする事務所の養成所制度、劇場での経験は「芸人としての基礎体力」を育てます。
舞台で鍛えられる度胸、先輩からの指導、観客の反応を肌で感じる日々が、芸人を「プロの話芸人」として成長させます。
2. 賞レースによる実力主義
M-1グランプリ、キングオブコント、R-1グランプリなど、日本の芸人は厳しい大会でしのぎを削ります。
そこで勝ち抜いた者だけが全国区の知名度を獲得し、テレビに出る切符をつかめるのです。
3. テレビ文化と結びついたスター誕生
20年前までは「有名になる方法=テレビ出演」しかありませんでした。
そのため芸人は、番組で爪痕を残し続けなければ生き残れない「エンタメ界のトップアスリート」でした。
結果的に、視聴者が知る芸人たちは「超狭き門を突破した実力者ばかり」という構造が生まれていました。
4. 芸人の強みと弱み
- 強み:即興力、掛け合い、間の妙、テレビで磨かれた高い表現力。
- 弱み:テレビ依存、出演機会が限られる、収益が事務所次第で不透明。
ユーチューバーの強みと特徴
芸人がテレビ文化と共に成長してきたのに対し、ユーチューバーは「個人発信力」を最大の武器に登場しました。
特徴を整理すると以下のようになります。
1. 誰でも参入できる開かれた舞台
カメラやスマホさえあれば動画配信が可能。大掛かりな舞台や事務所のバックアップがなくても、自力でチャンスをつかめます。
2. 企画と編集の自由度
テレビのような制約が少なく、自分の世界観やキャラクターを編集で自在に表現できます。
カット割りやテロップ、音楽などを駆使して「演出家」としての側面も発揮できるのが強みです。
3. ファンとの距離の近さ
コメント欄やSNSを通じて、視聴者と直接つながれるのはYouTubeならでは。
テレビでは「視聴者の声=視聴率」でしたが、YouTubeではダイレクトな反応を受けて改善・企画が可能です。
4. 収益の透明性
YouTubeの広告収入に加え、案件・企業タイアップ・メンバーシップ・グッズ販売など多彩な収益源があります。
「どのくらい稼いでいるのか」が可視化されやすいのも、視聴者の関心を集める要因です。
5. ユーチューバーの強みと弱み
- 強み:自由度・スピード感・グローバルな拡散力。
- 弱み:競争が激しく、寿命が短いケースも多い。炎上リスクや収益変動も大きい。
芸人とユーチューバーの比較ポイント
ここで、両者を項目ごとに比較してみましょう。
舞台の違い
- 芸人:テレビ・劇場
- ユーチューバー:YouTube・SNS
評価の仕組み
- 芸人:視聴率・スポンサー・制作陣の評価
- ユーチューバー:再生数・登録者数・エンゲージメント
育成の仕組み
- 芸人:養成所・先輩後輩関係・舞台経験
- ユーチューバー:独学・仲間との共同制作・トライ&エラー
収益モデル
- 芸人:テレビ出演料・営業・CM出演
- ユーチューバー:広告収益・案件・メンバーシップ・グッズ
必要とされるスキル
- 芸人:即興力、話芸、掛け合い
- ユーチューバー:企画力、編集力、SNS活用力
なぜ今「芸人とユーチューバー、どちらがすごいのか」が注目されるのか
芸人とユーチューバーの比較は昔からあったものの、近年になって特に議論が活発化しています。その理由を整理すると以下の通りです。
1. テレビからYouTubeへの主戦場シフト
20年前、有名人になるには「テレビに出る」しか方法がありませんでした。
しかし今は、YouTubeをはじめとするSNSが若者の主要な娯楽の場に。
その結果、「芸人=テレビ」「ユーチューバー=YouTube」という構図がぶつかり合うようになりました。
2. 優秀な人材の流入先が変化
これまでは「面白い人=芸人を目指す」という流れが主流でした。
ところが今では「最初からYouTuberを目指す」若者も増加。
つまり、才能ある人材がテレビではなくYouTubeに流れる可能性が出てきたのです。
3. 「笑い」の価値観の多様化
かつて笑い=漫才・コントの世界でしたが、今では「日常系ネタ」「リアクション動画」「ドッキリ企画」なども人気。
芸人の王道的なネタとは違う形の笑いが評価され、比較対象として語られるようになりました。
4. 対立構造の象徴性
芸人は「伝統とプロ意識」の象徴、ユーチューバーは「新時代と自由」の象徴。
どちらが優れているのかという論争は、世代間・価値観の対立の縮図とも言えます。
海外との比較:芸人とYouTuberはどう共存しているのか?
日本では「芸人 vs ユーチューバー」と対立的に語られがちですが、海外では少し事情が異なります。
アメリカの場合
- コメディアンはテレビだけでなくNetflixのスタンダップショーで人気を得る。
- 一方でYouTuberも独自のコミュニティを築き、コメディやレビュー、日常系でファンを獲得。
- 両者が共演するケースも多く、むしろ「融合」が進んでいます。
韓国・中国の場合
- 韓国では「芸能事務所所属のアイドル」もYouTubeを積極的に活用。
- 中国はショート動画アプリ(抖音=TikTok中国版)が主戦場となり、コメディアンも配信者も同じ土俵で競う傾向。
日本との違い
しかし今後は、芸人がYouTubeに進出したり、YouTuberがテレビに出る機会が増え、海外のように境界が薄れると予想されます。
日本は「芸人=テレビ」「YouTuber=ネット」とまだ線引きが強い。
今後の展望:芸人とユーチューバーの未来
1. 芸人のYouTube進出は加速
オリラジ中田敦彦さん、霜降り明星、かまいたちなど、すでに多くの人気芸人がYouTubeチャンネルを持っています。
テレビで培ったトーク力と企画力を武器に、YouTubeでも成功する例が今後さらに増えるでしょう。
2. ユーチューバーのテレビ進出も増加
フワちゃん、はじめしゃちょー、ヒカキンなど、ユーチューバーからテレビ出演するケースも増えています。
「ネット発のタレント」がテレビに出ることに、もはや違和感はなくなりました。
3. 芸人とユーチューバーの融合
今後は「芸人かYouTuberか」ではなく、エンタメクリエイターとして一括りに語られる可能性が高いです。
テレビ、YouTube、TikTokなど媒体は違っても、面白さを届けるという本質は同じ。
ジャンルの垣根は徐々に薄れていくでしょう。

まとめ:どちらがすごいのか?
- 芸人は「伝統と実力主義」、ユーチューバーは「自由と拡散力」。
- 今「どちらがすごいか」が問われているのは、テレビ一強時代からYouTube時代へ移行する過渡期だから。
- 本質的には「芸人かユーチューバーか」ではなく、誰がどの舞台で才能を発揮するかにかかっています。
結論:
芸人とユーチューバーはライバルであると同時に、今後は共存・融合していく存在です。
読者であるあなた自身も、これからは「芸人が好きか」「ユーチューバーが好きか」ではなく、どんなエンタメを楽しみたいかを自由に選べる時代に生きているのです。


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